朝方の腰の強張り・腰の固さ

寝起きの腰の固さ

結論:寝起きの腰の強張りは健康な人にも見られる。熟睡することで起こることがある

毎朝目が覚めたばかりの寝起きの頃に腰が強張って固くなると将来に不安を抱かれる方は多い。
だが、熟睡できたときの成長ホルモンが沢山分泌されたときに見られる現象である。
熟睡してノンレム睡眠に入ると脳の運動野の命令が弱まる。
脊髄以下の活動性を制御できなくなる。
背骨の筋肉が緊張を起こす。
健康な人に見られる現象なので多くの場合安心ができる。
寝起きは布団の中で体操をして体の血流を良好にしたりストレッチをして背骨の筋肉を伸ばすことが良い。

毎日、朝方になると腰が強張ってしまう。

慢性腰痛をお持ちになられる方の中でも朝方の寝起きのときに腰が強張ってしまう症状についてお話しましょう。この症状のことを人によっては『寝起きに腰が固くなる』とか『おきると腰がズシっとする』、言葉で上手く表現ができず『朝になると腰に違和感がある』、『腰が気持悪い』などとおっしゃられることもあります。

このまま腰痛が悪化して行くのではと不安に思う

やはり一般人の多くは医学に精通はしておりません。こういった腰の不具合が毎朝のように現れると、『この先歳をとると腰痛が悪化して行くのでは?』と不安に思ってしまうことでしょう。

老人が腰を痛めて『つらい辛い』とおっしゃられる姿、腰が曲がって満足に出歩くこともできなくなってしまう姿を思い浮かべるのかもしれません。

多くの場合が病的な現象であらず。

ところが朝方の起きがけにみられるこういった腰の固さ・強張りとはほとんどの場合が病的な現象ではありません。健康な方にも通常に見られる現象のことが多いのです。したがって過剰な心配をせず経過を観察していただければそれ以上悪くなることもないはずです。

(稀に重篤な腰部の病気がありますのでここで言う情報はあくまでも大多数の方に当てはまるものであり少数の例外は除外して考えるものだとお思いください。)

熟睡して背骨から沢山成長ホルモンが分泌されると起こる現象

ではこういった現象はなぜ起こるのか?これは熟睡したときにたびたび見られるものです。

十分にリラックスして脱力した状態で眠れると睡眠中に成長ホルモンが分泌されます。成長期に分泌されるのが成長ホルモンではなく、体の発達のためにたんぱく質や栄養素を筋肉や骨に沢山取り込む作用を持ったホルモンだとお思いください。成長期を過ぎた大人や高齢者、女性にもこのホルモンは分泌されます。大人の場合身長が伸びることはありませんが人によっては筋肉の疲労が回復したり、骨が丈夫になったり、筋肉の発達を手助けしてくれます。血液を増産して血色が良くなりアンチエイジングにも役立ちます。

完全に熟睡すると脳の運動野の命令が弱まり背骨周辺の筋肉が緊張する。

十分に精神的にも肉体的にもリラックスした状態で睡眠に入りますと睡眠中にタップリと成長ホルモンが背骨から分泌されるようになります。この現象を起こすためには条件があり、それは睡眠のメカニズムであるレム睡眠とノンレム睡眠が関係します。

レム睡眠は脳がおきているけれども体は眠っている状態、このときに夢を見るといわれます。成長ホルモンがドバッと背骨から放出されるのです。

そしてもう一つのノンレム睡眠は体が起きており、脳が眠っている状態、このときにおきるとグッタリして疲れたような気がします。しかし、脳がボンヤリしているだけで実際には眠りが足りないわけではありません。

背骨(腰骨)が固くなる現象はこのノンレム睡眠のときに起こる現象であり、睡眠中に背骨の筋肉が緊張するのです。脳が深い眠りに入ることで脳の運動野の命令が弱まると、背骨の神経が脳の制御下から外れ、背骨の周辺の筋肉の緊張を強めてしまうのです。

脳が寝ている状態で外敵から身を守るためには胴体の脊骨の筋肉を緊張させる必要があるのです。

脳と脊髄、末梢神経脳と脊髄と末梢神経の図、脳と脊髄のことを中枢神経と呼びます。脊髄から出た枝の神経のことを末梢神経と呼びます。

睡眠を取って深い眠りに入ると脳が眠りこけて脳の運動野が完全に休止します。

するとそれまでリラックスするように指示していた脳の運動野の命令が停止しますので脊髄以下が活動性を高めます。この活動性の高まりによって末梢神経が活動性を高めて背骨の筋肉が緊張するのです。だからノンレム睡眠中に目覚めると体が固く感じるのです

したがって寝起きの状態により
『あぁ~疲れた・・・』
と前日の疲れを引きずっているように感じるのです。

どうでしょうか?朝方に背骨や腰骨が固く感じる方、強張って怖いとお思いになられた方もこれが健康な方に見られる現象であるということがお分かりいただけましたよね。

ちなみにスッキリ目覚められるレム睡眠は90分に1回現れると言われ、睡眠全体の20%を占めております。

そのため、もしもスッキリ目覚めて腰の固さを少しでも軽減したいのでしたら3の倍数時間(3・6・9時間)眠ることが良いとされるのです。

朝方の背骨の固さそのものは病気ではないが、ぎっくり腰を招き易い。

こういった背骨や腰の固さは固さや強張りそのものは病気ではありません。そのため過度に心配をされる必要はほとんどありません。しかし、固さが背骨の動きを妨げておりますので寝起きに不意に激しい動作をしたり、急に腰を深く屈めようとすると腰を痛めてしまいます。

朝の起きがけはぎっくり腰を招き易いのです。

ぎっくり腰の全体的な発生は朝方にみられます。歯磨きをしたり、洗顔をしたり、キッチンでお料理をしていたり、朝のゴミ出しのときや自転車に乗ろうと跨いだときだったりと腰の負担になる動作には十分に注意しましょう。

布団の中での体操寝起きに布団の中で軽く体を動かしてください。上半身では手を握ったり開いたり、手首や肘・肩をまわします。それから首をグルリと優しく回します。

下半身では指先を握ったり開いたり、足首を上下に動かしたり、膝や股関節を動かします。

最後に腰を反らしたり曲げたり優しく捻ったりと動きをつけて、十分に全身の緊張が取れてから起き上がります。起き上がった状態で体操をしていつもの一日の流れに入っていただければぎっくり腰の発生は6割は軽減できるはずです。

固まった背骨全体を伸ばすことも良い。

また人によってタイプが分かれますが多くの方は寝起きに背骨の後方が固まるはずです。この固まったものを優しく背骨を丸く伸ばすストレッチをします。

起き掛けには背中を丸めて首を屈めるようにしてみると良く腰が伸びます。

(※腰部の持病の状態によって症状が悪化することがございますので実施に関しては専門家の診察を必ず受けてください。万一悪化した場合でも絶対に逆恨みは止めてください。責任は負いかねます。)

背骨を伸ばすストレッチ背骨全体を図のように丸めてギューンと伸ばしてゆきます。痛みを感じた方、違和感を感じた方は無理をしない範囲で行っていただければ十分です。また動作は優しく最初から最後まで勢いや反動を使わず丁寧に行います。背骨に心地よいキーンとした突っ張り感が現れるはずです。

こういったストレッチを数回行っていただければ日中の気温が温かくなる時間帯には腰の固さはずいぶんと解消されることでしょう。